改正個人情報保護法2026年6月施行:お客様の声・口コミ掲載の同意設計チェックリスト
目次
- 1. 改正APPIで何が変わるのか——お客様の声への影響
- 1.1 改正の核心:「包括同意」から「利用目的別同意」へ
- 1.2 お客様の声に関わる3つの利用目的
- 2. 施行前に確認すべき5項目チェックリスト
- ☐ チェック1:同意取得方法を書面またはデジタルログで確認できるか
- ☐ チェック2:同意の利用目的が「P1/P2/P3」で分かれているか
- ☐ チェック3:過去に集めた声の同意範囲が把握できているか
- ☐ チェック4:同意の撤回フロー(オプトアウト)が機能しているか
- ☐ チェック5:プライバシーポリシーがお客様の声の利用を明記しているか
- 3. 過去の声の「再同意取得」テンプレート
- 4. 新規収集フォームに組み込むべき同意設計
- 推奨フォーム構成(3レイヤー同意)
- 写真・顔写真を使う場合の追加同意
- 5. 業種別の注意点
- クリニック・歯科・医療機関
- 士業(弁護士・税理士・行政書士)
- 美容・エステ・ネイル
- 6. AI・LLMに口コミを活用する場合の追加考慮点
- 7. まとめ:今すぐやること(優先順)
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2026年6月1日まで、あと数日。
「うちはお客さんに口頭で許可をもらっているから大丈夫」——残念ながら、改正個人情報保護法(APPI)施行後は、この認識が最も危ないです。
改正法では「同意の粒度」と「利用目的ごとの分離取得」が義務化されます。過去に集めたお客様の声も、新しい基準に照らすと再同意が必要なケースが多数あります。課徴金は売上の最大3%。中小事業者にとって笑えない金額です。
この記事では、お客様の声・口コミ掲載に特化した改正APPI対応チェックリストを、SMBが今すぐ実装できる粒度で解説します。
この記事のTL;DR
- 改正APPI(2026年6月施行)で「同意の粒度」が厳格化。包括同意は事実上使えなくなる
- お客様の声の「掲載許可」と「SNS広告利用」「AI学習許諾」は別々の同意が必要
- 違反時の課徴金は売上の最大3%、公表措置あり
- 過去の声は「再同意取得メール」か「利用停止」の2択
- 今すぐ使える5項目チェックリストを末尾に掲載
1. 改正APPIで何が変わるのか——お客様の声への影響
1.1 改正の核心:「包括同意」から「利用目的別同意」へ
改正前の個人情報保護法では、「お客様の声をマーケティングに活用する場合があります」という包括的な利用目的の通知で対応できるケースが多くありました。
改正後(2026年6月施行)は以下の通りです。
| 項目 | 改正前 | 改正後 | |------|--------|--------| | 同意の粒度 | 包括同意で運用可 | 利用目的ごとに分離取得が原則 | | 利用目的の変更 | 関連性があれば変更可 | 再同意または通知+オプトアウト必須 | | 第三者提供(広告プラットフォーム等) | オプトアウト方式可 | 明示同意が必要な場合が拡大 | | 違反時の措置 | 是正勧告・罰金中心 | 課徴金(売上の最大3%)+公表 |
お客様の声に限定して影響を整理すると、主に3つの利用目的を分けて同意を取る必要があります。
1.2 お客様の声に関わる3つの利用目的
| 目的コード | 内容 | 典型的な使用先 | |----------|------|--------------| | P1:自社サイト掲載 | ホームページ・LPにテキストと氏名(または匿名)を掲載 | 自社テスティモニアルページ、トップページ | | P2:広告・2次利用 | SNS広告・チラシ・メール配信・動画への転用 | Meta広告・Instagram投稿・メルマガ | | P3:AI・LLM学習許諾 | LLMベンダー連携、生成AI検索での引用、エージェント向け公開 | LLMO対応・Agentic Commerce |
重要:今まで「掲載許可をもらった」と思っていた声は、P1の同意のみ取得した状態です。P2・P3は別の同意が必要です。SNS広告に流用したり、AI検索対策でエージェント向けにデータを公開したりする場合は追加同意なしに違法リスクがあります。
2. 施行前に確認すべき5項目チェックリスト
以下のチェックリストを使って、自社の現状を確認してください。
☐ チェック1:同意取得方法を書面またはデジタルログで確認できるか
口頭やLINEでの「いいですよ」は証明が困難です。改正後は同意取得の記録が求められる可能性があります。
- 紙のアンケートの場合→同意欄があるか、サイン欄があるか
- Googleフォームの場合→フォームに明示的な同意チェックボックスがあるか
- メールの場合→同意文が含まれたメール文面を保存しているか
対応策: 今後のフォームには必ず「チェックボックス形式の同意欄」を設置する。こえポストでは掲載許諾の自動取得がデフォルトで組み込まれています。
☐ チェック2:同意の利用目的が「P1/P2/P3」で分かれているか
「お客様の声の掲載に同意します」という1文だけでは不十分です。利用目的別に同意が分かれているか確認してください。
良い例:
□ 自社ウェブサイトへの掲載に同意します(必須)
□ SNS・広告への2次利用に同意します(任意)
□ AI・生成AI検索への活用に同意します(任意)
悪い例:
□ マーケティング全般への活用に同意します
☐ チェック3:過去に集めた声の同意範囲が把握できているか
過去のお客様の声について、いつ・どのような同意のもとで取得したかを確認します。
| 状況 | 必要な対応 | |------|----------| | 包括同意のみ取得済み | 再同意メール送信または利用目的を縮小 | | P1同意のみ取得済み | P2・P3で使う場合は追加同意が必要 | | 同意取得の記録なし | 新規取得まで非公開が安全 | | 書面で明示同意あり | 内容を確認し、必要に応じて補完 |
☐ チェック4:同意の撤回フロー(オプトアウト)が機能しているか
改正APPIでは、同意の撤回手続きを提供することが求められます。お客様が「やっぱり掲載をやめてほしい」と言った場合に、即座に削除・非公開できる体制があるか確認します。
- 管理画面から即座に非公開にできるか
- お客様からの撤回申請の受け付け先(メールアドレス・フォーム)があるか
- 撤回したデータの取り扱いポリシーが明文化されているか
☐ チェック5:プライバシーポリシーがお客様の声の利用を明記しているか
プライバシーポリシーに「テスティモニアル・お客様の声に関する取り扱い」の項目があるか確認します。以下の要素を記載するのが安全です。
- 収集する情報の種類(氏名、写真、自由記述など)
- 利用目的(P1/P2/P3を明記)
- 保存期間
- 削除・撤回の手続き
3. 過去の声の「再同意取得」テンプレート
チェックリストを確認した結果、過去に集めた声の同意が不十分だとわかった場合は、再同意取得メールを送ります。
以下はこえポストの依頼文ジェネレーターでも生成できるテンプレートをベースにした文例です。
件名:【ご確認のお願い】お客様の声の掲載範囲についてのご同意確認
〇〇様
いつも〔サービス名〕をご利用いただき、ありがとうございます。
以前、お客様のご感想・お声をいただき、現在〔自社サイト URL〕に掲載させていただいております。
2026年6月に改正個人情報保護法が施行されるにあたり、掲載にかかわる同意の内容を改めてご確認いただきたく、ご連絡いたしました。
以下より、現在の掲載について「続けてよい」か「非公開にしてほしい」かをお選びください。
【掲載を続けてよい場合】→ こちら [継続同意リンク] 【非公開にしてほしい場合】→ こちら [撤回リンク]
ポイント:この再同意メールは6月1日施行前に送ることで、施行後のリスクを大幅に軽減できます。今週中に送信することをお勧めします。
4. 新規収集フォームに組み込むべき同意設計
今後お客様の声を集める際は、最初から改正APPI対応の同意設計を組み込みます。
推奨フォーム構成(3レイヤー同意)
【お客様の声フォーム】
Q1. 今回のサービスについて、ご感想をお聞かせください
[自由記述欄]
Q2. お名前(掲載時の表示名)
[テキスト欄] ※「山田太郎」「T.Y」「匿名」など
Q3. 掲載同意(以下をお読みいただき、同意いただける項目をチェックしてください)
□ 自社ウェブサイト(https://example.com)へのご意見・お名前の掲載に同意します ※必須
□ SNS・広告・メールなど各種マーケティング素材への2次利用に同意します ※任意
□ AI・生成AI検索サービスでの引用・活用に同意します ※任意
写真・顔写真を使う場合の追加同意
写真付きのテスティモニアルを掲載する場合、特に顔写真は肖像権が絡むため、同意文を分けて取得します。
□ 提供した写真(顔・全身を含む)の掲載・利用に同意します ※任意
※写真なしでも掲載は可能です
詳細はお客様の声に写真を使う際の注意点も参照してください。
5. 業種別の注意点
クリニック・歯科・医療機関
医療関係のテスティモニアルは、医療広告ガイドライン(厚生労働省)とのダブル規制になります。「治った」「治療効果があった」という表現は医療広告規制に触れる可能性があるため、体験談の掲載前に内容の確認が必要です。
詳細はクリニック向けテスティモニアルガイドをご参照ください。
士業(弁護士・税理士・行政書士)
士業は各士業法の広告規制があります。弁護士であれば弁護士法72条・弁護士職務基本規程の広告規則、税理士であれば税理士法の規定に従う必要があります。掲載前に所属会のガイドラインを確認してください。
美容・エステ・ネイル
「○kg痩せた」「肌が劇的に改善した」などの効果訴求は、景品表示法の優良誤認表示に該当する可能性があります。お客様の声であっても、根拠のない効果の強調表現は掲載前に法務確認を。
6. AI・LLMに口コミを活用する場合の追加考慮点
2026年春以降、OpenAI・Anthropic・Googleはコンテンツの出所証明(Provenance) をパートナー要件に組み込み始めました。
お客様の声を生成AI検索(ChatGPT Search、Perplexity、Google AI Overview)で引用してもらうためには:
- P3(AI学習許諾)の同意が取得済みであること
- JSON-LDにConsentReceiptのURLが組み込まれていること
/agents/testimonials.json等でエージェント向けに許諾済みデータを公開していること
が必要になります。この点についてはゼロパーティデータ時代のお客様の声戦略とLLMO実践ガイドで詳しく解説しています。
7. まとめ:今すぐやること(優先順)
改正APPI施行まであと数日。以下の優先順で対応してください。
| 優先度 | タスク | 期限 | |--------|--------|------| | 最優先 | 現在掲載中の口コミの同意範囲を棚卸しする | 今週中 | | 最優先 | P2・P3で利用中の声に再同意メールを送る | 6月1日前 | | 高 | 新規フォームに3レイヤーチェックボックスを追加 | 6月1日前 | | 高 | プライバシーポリシーにテスティモニアル取り扱い条項を追加 | 6月1日前 | | 中 | 撤回・削除フローを整備し受け付け先を公開 | 6月15日まで |
法律の解釈は個別事情によって異なります。課徴金リスクが大きい場合は、施行前に弁護士や個人情報保護士に相談することをお勧めします。
こえポストでは、フォーム設計の段階から掲載許諾を自動取得し、承認ワークフローで掲載前の最終確認ができます。3レイヤー同意設計への対応も順次アップデート中です。
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